英会話について 〜準備と心構え〜

MISとは離れてしまいますが、今回は趣向を変えて、国際学会に必須の英会話の勉強についてお話したいと思います。

国際学会には、いつも一人で行っています。

アメリカの大きな学会では、現地や途中で日本人の先生に会うこともありますが、ヨーロッパではめったにお会いしません。まして、足の外科でもMIS関連の学会になると、日本人はほぼ毎回自分一人です。

私は、恥ずかしながら、英会話は聞くのも話すのも、あまり得意ではありません。

聞く方については、ヨーロッパの学会は、イギリス人以外は母国語が英語ではないので、むしろ聞き取りやすく、こちらも発音などあまり気にしないですみます。

話す方については、とにかく予習をして対策を立てています。

学会や手術セミナーの前には、事前にプログラムが発表になります。それで場所や開会・閉会時刻を確認してホテルや飛行機を予約するのはもちろんですが、誰が何を発表するのかも、全部確認しておきます。高いお金と時間をかけていくのですから、当然といえば当然ですが。

その上で、事前に知りたい内容について質問文を作っています。発表を聞くだけで解決すればそれでいいのですが、解決しない場合には、その文を使って質問します。その場で別の質問を思いついたときには、それらの表現の使い回しで、だいたい対応できますし。

専門的な内容や用語、表現については、普段から英語の論文をある程度読んでいれば知っているし、相手もわかっているので、実はそれほど難しくありません。

あと、誰が来るかの確認も大事だと思っています。会ったときにすぐ思い出して挨拶し、前回の話題から入れるようにしておくのです。私のパソコン画面の背景には、1分おきに学会で撮った写真が切り替わるようにしてあります。こうすることで、毎日他の国の先生の顔を見るようにしています。これで、コーヒー・タイムの短い時間は乗り切れます。

器械の展示を見て歩くというのも良い方法です。器械屋さんにとってはこちらは客なので、多少こちらの英会話がおぼつかなくても、がんばって会話してくれます。

一番苦手なのは、学会中にある食事会での雑談です。足の外科やMISについてなら、逆にこちらのほうが知識や経験があることもあるので、何とかなります。ただ、その話題だけだとつまらないやつと思われるかも知れないし、長時間の食事会となると、場が持ちません。さらに、初対面の先生や、その家族と同じテーブルになることもあるので、仕事の話だけでは終わりません。

そもそも日本でもそんなにおしゃべりが得意な方ではないですし、外国人相手だと仕事以外に共通の話題が少ないので困ります。

学生のとき、試験のときは予想問題、いわゆる過去問をやれ、が鉄則でした。なので、自分の趣味や生活、外国人が喜びそうな日本の話題などについて、想定できるテーマと文を100個くらい英作文し、表現と使う単語の確認をしました。もう10年以上前に、苦労しながら元ネタを作りましたが、今ならGoogle翻訳ですぐできそうです。全部覚えているわけではないですが、さすがに日本人同士の雑談でも、そのくらいネタがあればなんとかなりますし、あとはそれをもとにして使い回せば、それなりの時間、会話ができます。

下に、私が参考にした本を挙げておきます。

あと、なるべく聞き役に回って、適宜、相槌や質問をすれば、何とか乗り切れます。そのときに出た、想定外の話題や質問は、次回の会話対策に活かせるようにします。

これで学会の事前準備は何とかなりますが、なぜか飛行機(バルセロナブリュージュオランダバルセロナその2ブライトンその1、など)やホテル(ブライトンその2、シカゴ、モロッコ)、電車(ジュネーブブライトンその1)、タクシー(ブライトンその2)などでのトラブルに遭うことも多いので、一人で行ったからには、最低限、自力で無事に帰ってくるだけの英語力が必要です。国も文化も違うところでは、言うことは言わないと伝わらないし、誰も何もしてくれません。

そもそも、留学経験など全くない私が、以上のような英会話を何とかできるようになるためには、まずは英語に対する心構えから再構築することが必要でした。

正直言って、この手の本は、それこそ20冊前後は読んだのですが、その中でも非常に役に立ったと思う本だけ挙げておきます。もしご興味があれば、参考にしてみてください。単に英会話が云々ということだけではなく、大げさに言えば、私の仕事や社会との関わりについて意識変革してくれた本です。

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