MISという呼称について

MISとは、ホームページにもあるように、もちろん、minimally invasive surgeryの略です。日本語では、「最小侵襲手術」と言います。

他の呼び方として、イギリスなどでは、key hole surgery、つまりそのまま「鍵穴手術」という表現をよく耳にします。鍵穴のような小さな切開で手術を行う、というイメージですね。

ただ、整形外科の他の分野、例えば脊椎、股関節や膝などでは、骨や関節に達するまでが小切開だったり、筋肉などの組織に切り込む範囲は少ないものの、切る対象となる骨などは直接見るものを、MISと表現するのが一般的です。

小切開であっても、切る対象を直接見ないで、触診や透視装置というレントゲン写真がリアルタイムに動画で見える器械を使って行う手術は、「経皮的手術」と表現されることが多いです。

まとめると・・・

小切開であっても、切る対象を直視する手術→MIS、直視しない手術→経皮的手術

というのが、日本の整形外科での一般的な通念だと思います。

ただ、海外ではこれらがゴッチャに使われていることが多く、海外の学会発表や論文、書籍の中では、むしろMISと表現しているほうが多いです。当然、新術式を開発、命名された先生や、有名な論文の著者自身がMISと表現していることも多くなります。

下の本でも、タイトルにはMIS(minimally invasive surgery)とありますが、中には経皮的手術と表現している章もあります。

オーストラリアやアメリカの先生の一部は、経皮的手術と表現し、例えば外反母趾手術のMICA法(minimally invasive chevron and Akin osteotomy)のことを、PECA法(percutaneous chevron and Akin osteotomy)と呼んだりしています。

私は、少なくとも日本の学会では、MISではなく「経皮的手術」と言ったほうが正しいと思っているので、今までの学会発表では「経皮的手術」と表現したり、講演の最初に、「術式の開発者や以前の論文の著者がMISと言っておられるので、それに敬意を払って、両方の表現が出てくることをご容赦ください」と、あらかじめお伝えしてから講演を始めるようにしています。

あと、海外ではMISを「ミス」と発音する先生も多いです。ですが、私はどうしてもその響きが嫌なので、そこは日本人としてこだわって、「エム・アイ・エス」と発音しています(笑)。

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