MISで使う器械:強力磁石

MISで使う器械として挙げましたが、私は幸いなことに、まだ実際に使ったことはありません。

何に使うかと言うと、万が一、バーが骨の中で破損して取れなくなったときの用意です。

骨が非常に硬かったりすると、バーが折れたり曲がったりする恐れがあります。

また、海外製のバーですから、使用前になにか大きな衝撃が加わっていたりすれば、例え新品であっても、折れる可能性はゼロではありません。

破片が傷口から届く範囲であれば、小さいピンセットのようなもので取ればいいと思いますが、もし破片が骨の中に入ってしまった場合には、取り出すのにかなり苦労する可能性があります。

または、回収不能の可能性もあるかもしれません。

いつだったか、海外でMIS手術のセミナーに参加したときに、症例検討会で実際にバーが折れて骨の中に残っている症例のレントゲン写真が出ました。

その時にいた海外の先生の意見は、「別のバーで予定の骨切りをして、隙間ができたところで破片を回収する」でした。

この他の方法として、以前に紹介した「MISの書籍 その2」の中で、カナダの足病医Sheldon先生は、磁石の常備を勧めています。

この本を読んだ後、すぐに念のため、小さいですが強力な磁石を購入し、常に消毒した状態で手術室に準備しています。

これは、本来は技術者用の道具で、手が届かない狭いところにネジなどの部品を落としたときに回収するための道具です。先端は小さいですが、非常に強力な磁石になっています。

最近の強力な磁石であれば、かなり奥に入ってしまったバーの破片も、皮膚の上から取り出しやすいところまで誘導できる可能性がありますし、小さいものであれば傷から入れて直接引っ張り出すこともできると思います。

ただ、最初に書いたように、幸いなことに今のところ、そういった事態に陥った経験はありません。

「MISに使う器械」としてお示ししましたが、使う機会が一度もないことを祈っています。

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