2022年7月、アメリカ足の外科学会のバーチャル・コースが開催されます。

私が国際会員として所属しているアメリカ足の外科学会AOFASから、足の外科手術の応用編のバーチャル・コースのお知らせが来ました。2022年7月7〜9日に、オンラインでの講演と症例検討会があるとのことです。

時差の問題で、日本では診療時間中や手術前日の深夜などで見られないこともありますが、今回は講演後の録画配信もあるとのことなので、申し込みました。

プログラムを見ると、MISについての内容も多くなっています。

これは、当科での外反母趾の治療に相当します。

これは、当科でのハンマー趾、MTP関節脱臼や、内反小趾の治療に相当すると思います。

これは、当科での内転中足の治療に相当します。

当科ではシャルコー関節の治療はしていませんが、MIS手技でのリスフラン関節固定やショパール関節固定、3関節固定を行っています。

これは、当科での強剛母趾の治療に相当します。

実は、新型コロナ感染問題の中で、これまでもこの学会が主催する足の外科のMISセミナーはいくつかありました。聴ける範囲で全て受講しましたが、今まではMISの器具やごく基本的な手技の内容ばかりで、正直言ってあまり参考になりませんでした。

しかし、今回のプログラムを見ると、advanced、つまり応用編と銘打っているだけに、MISについても今までより進んだ内容になっているようです。

上記のように、普段私が行っている手技も多く、自分の方法について、新たな発見があるかもしれないと期待しています。

そもそも、足の外科のMISはアメリカの足病医が始めましたが、初期の頃は専門の道具がなく、また解剖学的裏付けも十分ではなかったようです。そのため、いろいろと問題があったようで、足の外科を専門とする整形外科医の間では、いったん中止されてしまった経緯があります。

このアメリカの学会や学会誌が、世界の足の外科の中では一番メジャーだと思いますが、数年前まではこの雑誌にMISの論文が掲載されることはほとんどありませんでした。

私の論文も、MISはアメリカではとっくの昔に捨てられた方法だと言われて、載せてもらえませんでした。(T_T)

アメリカ足の外科学会の雑誌の査読者からの回答です。この後、足病医の学会の雑誌に掲載されましたが、2年後のことでした・・・。

その後、ヨーロッパに伝わって器具、解剖学的にも発展し、整形外科医の集まりであるアメリカ足の外科学会には、逆輸入されたような形になっています。

最近になって、アメリカの学会でも公式にMISセミナーが複数回開催されるようになったのは、MISの成績が認められて関心が寄せられている証だと思います。

アメリカの医療はセンター化されており、いったん新しい治療を開始すると、患者が専門の施設に集中して、一気に数や経験が増えるようになっています。韓国なども同じシステムのようです。

ちなみに、2019年のモロッコの学会でお会いしたアメリカの先生は、その時点では外反母趾のMISの経験はまだ10件くらいだとおっしゃっていました。が、昨年のオンライン学会では、すでに250件くらい執刀したとおっしゃっていました。

器具の開発(リンク先の最後に、昨年販売された海外の器具へのリンクがあります)や手技の洗練も、その手術をやっている人がいればこそです。私が足の外科のMISを日本で開始して10年以上たちました。が、他にやっている人がおらず、使える道具もままならない状態で続けていても、すぐに知識も技術も追い抜かれてしまうでしょう。

このグローバル社会(もはや死語?)の中で、日本は未だに情報については鎖国状態だと揶揄する人もいます。私は、少なくとも足の外科のMISについては、世界の中で情報弱者にならないように、今後も謙虚に学んでいく必要があると思っています。

今回の学会セミナーについては、いつものように事後報告でもよかったのですが、日本でAOFASの学会誌は読んでいても会員になっていない先生にはお知らせが来ないでしょうし、また学会員であっても連絡を見逃してしまった先生もおられるかもしれないと思い、開催前に当ブログで掲載させていただきました。

学会員でなくても、受講料を払えば受講できます。今回は会員でも受講料を取られますが (^^;

ご興味のある先生で、参考文献を探しておられる方に、MIS足の外科センターからのおすすめの書籍を掲載しておきます。

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