海外のMIS手術セミナー その5 2014年 ニューオーリンズ

2014年6月12、13 日、アメリカのルイジアナ州立大学医学部で、Academy of Ambulatory Foot & Ankle Surgery (AAFAS)主催の足の外科MIS手術セミナーに参加しました。

今は、Academy of Minimally Invasive Foot & Ankle Surgery (AMIFAS)と、会の名称が変更されています。

アメリカの医療は日本とは異なり、足の外科については、整形外科医で足を専門にしている医師と、足専門の大学を卒業した足病医という資格があります。

このセミナーは、足病医向けのものでしたが、特に問題なく参加させてくれました。

それまでは、アメリカ足の外科学会で会った先生たちの中には、あまり足病医と仲が良くない感じの人もいたので、最初はどんな感じなのか不安もありました。が、セミナーをきくと、とんでもない誤解とわかり、偏見をあらためました。講義をされた先生方は、足に特化した大学を出ているだけあって、当時の私など及びもつかないほど、とにかく解剖や機能などについて詳しくご存知でした。

よく考えれば、足の外科のMISそのものが、足病医が始めたという経緯もあります。

ただ、休み時間などにお話をしたところでは、足病医全員が手術をしているわけではなく、その中でもMISをしているのは5%くらいだと言っていました。

後日、足病医の診療スタイルに興味があって、Amazonで電子ブックも買って読んでみました。オーストラリアの先生が英語で書かれていて、主に経営の話でしたが。

下にその本のリンクを張っておきます。PCでは表示されますが、スマホなどでは「Link」としか表示されないようです。

プログラムを見ればわかるように、2日間でけっこうびっちり詰まったスケジュールで、セミナー費用もそれほど高くないわりに、内容も充実していました。

取り上げられた手技が、それまでにスペインイギリスで見てきたものと若干異なる点もありました。イギリスでは第3世代MISが主でしたが、ここでは第1,2世代MISが多かったです。

反対にヨーロッパで習って自分が使っている手技で、実技指導についてくれた先生たちの知らない手技もありました。MICO法経皮的Lapidus法経皮的リスフラン関節固定術などです。

それでも、今まで知らなかったアイデアも多く聞くことができ、非常に勉強になりました。

セミナーには、すでにヨーロッパでも何度かお会いしたIsham先生も、この会の役員もされているとのことで、来られていました。

その他にも、YouTubeにMISの手術動画を出しれおられるPeacock先生は、その動画にもありますが、レクチャーの途中でいきなりギターの弾き語りを始めたり、Peacock pressという、胼胝ができる前の中足骨頭部痛の診断法を教えてくれました。残念ながら、先日、若くしてお亡くなりになりました。

Graham先生はジョニー・デップにそっくりのイケメンでしたが、  GraMedicaという会社を作った企業家でもあります。日本では認可されていませんが、欧米や東南アジアなどで使われている、扁平足用の器械を開発、販売しているそうです。ヨーロッパやアジアにも、自らその器械のセミナーに出向いているとのことでした。後日、ヨーロッパ足の外科学会でよく会うクロアチアのEarnest先生と話していたら、その器械を実際に使っていて、非常に高評価でした。Graham先生は、同じ年の9月にシカゴで行われたアメリカ足の外科学会にも来られていて、ディナーに向かうバスで隣に座っておしゃべりさせていただきました。

この他にも、スペインからのゲストで講演された先生からは、中足骨頭部痛の手術として、Haspell法を教えていただきました。

Orlando先生にも初めてお会いしました。彼はコロンビア人ですが、アメリカでIsham先生とクリニックをされています。この数年後に日本在住のアメリカ人の患者さんを私に紹介してくれました。一緒に来られていたこのクリニックの看護師さんが足病医向けのMISの器具のオンライン・ショップを運営していて、このセミナーより前から、時々利用させてもらっています。

Sheldon先生はカナダ人で、以前紹介した「MISの本 その2」の中で、外反母趾に対して、MICA法とは骨切り方向と固定法が異なるWilson法を紹介していた方でした。すでにその本を読んでいったのでご挨拶させていただいたところ、非常に喜んでくださり、私をセミナー後の役員向けのディナーに招待してくれました。彼はその何年か後にこの学会の会長もされていました。

この他、韓国人のAhn先生ともここで知り合いました。現在、アメリカで足病医として開業されていますが、昔、日本にも住んでいたことがあるそうで、日本語を話せます。その後、この学会のプロモーション役をされていました。

北京からは、Gang先生が来られていました。精力的に名刺を配り、写真を撮っておられました。当時、まだMISはしていないとのことでしたが、器械の展示場で長田電機工業の器械を即買いしていました。

このセミナーの会場の隣では、MIS用の細かな器械から中古の透視装置まで売っていました。普段、日本ではなかなか手に入らないMIS用の器械を、その場で実際に見比べながら安く買えるので、用途のよくわからない器械も含めて、かなり買い込んでしまいました。

一番手前の器械は、従来法で中足骨頭の底側を剥離するためのものですが、MISには大きすぎて、未だに出番がありません(笑)でも、あまりに安かったので、つい買ってしまいました(笑)。

招待していただいディナーに向かう途中は、スペインから招待講演で来られた女医さんとお話をさせていただきました。

海が近いせいか、湿気が高かったのを覚えています。牡蠣が有名らしく、小ぶりでしたが山盛りで、フライドポテトは山盛りすぎでした(笑)。有名な先生方に囲まれて、私の拙い英語でなんとか会話に参加できるのは、やはり共通の話題のMISについてが主でしたが、楽しかったです。

ホテルまでの帰り道、泥酔しているのか薬をやっているのかわかりませんが、路上で寝ている人が何人もいましたが、今回は地元の先生方と一緒だったので、いつもより安心でした。

セミナーが終わった翌朝、帰路につくためにホテルのロビーでタクシーを待っていると、セミナー中に一度もお話ができなかった先生がいたので、名刺を交換しました。すっかり忘れていたのですが、昨年2021年11月、LinkedinというFacebookの職業版のようなSNSでアメリカの足病医の先生とチャットしているときに、どこかで見たことがあると思ったら、そのときの先生でした。探してみると、まだそのときの名刺を持っており、それを伝えたら喜んでくれました。Daniel先生という方で、足病医だけでなく器械を扱う会社もされており、アメリカとレバノンを行き来しているそうです。本当に世界は狭くなったものだと思いました。

この学会からは、会の名前が変わった今でも、毎年セミナーのお知らせをいただいています。内容も充実していてMISの手術器具もその場で見ながら安く買えて、非常にお得感が高いセミナーだったので、機会があれば是非参加して、その後の手技を聞きたいです。

さて、この学会の全体ディナーのときに、ジョニー・デップ似のGraham先生と一緒に写真を撮り、その場でジョニー・デップ・ファンの家内に、「今、ジョニー・デップと一緒」と送りました。その直後に返信が来たのですが、びっくりしてiPhoneを落とし、表面のガラスを割ってしまったとのことでした。隣りにいた彼にその話をすると、笑っていました。家内のiPhoneは、帰国後に修理に出しました(笑)。

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