未来のMIS

これは、1990年に出版され、当時大学生だった私が読んだ本です。残念ながら、今は古本でしか手に入らないようです。

現代のMISに直接関わる内容ではありませんが、究極の手術について考えさせられました。

Amazonの商品の説明内容(「BOOK」データベースより)からの引用です。

「まもなく血管の中を手術装置が自由に移動して患部へ行き、直接、投薬したり、切除したりする夢のような機械が出現します。まさに「ミクロの決死圏」や「インナーワールド」の世界の機械版です。このマイクロマシンは、寸法にして1ミリから10万分の1ミリくらいまでの機械で、その動作原理は少なくとも生物から学び、その加工技術はすでに存在しています。発想を変えてください、まったく新しい機械の世界へ招待します。そこは、最後に残された機械産業のフロンティアでもあります。血管や臓器の中を自由に動く機械の世界。」

この本の中で、外科手術は、家の中の壊れた冷蔵庫を運び出すために、家の屋根を取り壊しているようなものだ、という例えが出ていました。

大学病院で研修医をしていたときに、工学部に留学していたアメリカ人がケガで入院してきました。ギプスを巻きながら話をしたところ、彼は飛ぶマイクロマシンを研究していると言っていました。それ以来、マイクロマシンの話を聞くことがなくなってしまいましたが、今はどこまで進んでいるのでしょうか?

内科や外科には、胃カメラを使った手術があります。整形外科でも、関節鏡といって関節の中にカメラを入れ、中を見て診断したり、見ながら別の器械を入れて内部を処置することがあります。残念ながら、胃カメラのように曲がったりはしません。

今のところ、私が知る範囲では、関節内を自由自在に移動して、画像を送ったり、病変部を処理する水中ドローンのような器械はありません。

もちろん、現在の足の外科のMISも、以前に比べれば小侵襲手術ですが、まだまだマイクロマシン治療の域には達していません。

いつか、内服か点滴でマイクロマシンを体内に入れると、自動的に患部に向かっていって、必要な工作機械に変化し、足趾の変形や骨折を自動的に治療して、終わると分解して体外に出てくるような器械ができる日が来るのでしょうか?

もしそうなれば、究極のMISですね。今のMISの技術も、医師自身すらいらなくなるかも知れませんが、それまではまだ間がありそうです。

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