数年前まで、足の外科の勉強のために、板橋の帝京大学附属病院に無給助手として、月1回通っていました。そこでは、外反母趾に対してDLMO法(海外ではBosch法、SERI法などとも言われます)を行っており、丸ノミを使ってワイヤーを入れていました(やったことのない方にはイメージしにくいかも知れません(汗))。
類似の方法で、骨切りをするのにバーを使うMagnan法があります。私がMISを開始した当初、Magnan法をするときに、神経を巻き込まないか心配だったので、このジグを用意しました。
自腹で買った国産の直径4mmのドリルガイドを、医療器械会社に頼んで一部削ってもらったものです。なので、正式名称はなく、個人的に「外反母趾用ジグ」と呼んでいます。
内筒を付けた状態で骨切り部から髄腔にこの器械を入れて、骨頭をずらします。次に内筒を外します。
MTP関節の創からワイヤーを入れ、骨頭内側を通して、溝状になった先端に当てて、近位の髄腔内にワイヤーを誘導します。
Magnan法は第2世代MISで、ほとんどすることがなくなりましたが、MICA法のときにも使えます。
とは言っても、最近は海外の先生のやり方を参考にして、軽度から中等度までの外反母趾なら、小型のエレバやワイヤーで十分代用可能のため、出番が少なくなりました。また、以前よりも自分の技術が改善して、より小さい創で手術ができることも多くなり、この器械を入れるためにわざわざ切開を拡大しないといけなくなったので、使いにくくなったということもあります(笑)。
長年愛用したこの器械、最近は出番が減ってきていますが、重度外反母趾で骨頭の移動量が大きいときには、まだワイヤーと組み合わせて使っています。
また、スクリュー用のガイドピンをいい位置に入れるのに、細いガイドピンが骨に弾かれて滑るのを防止したりするときにも使ったりしています。
一時期、このジグを手術中に落としたり、壊れたらどうしようと思っていた時期もありました。ですが、海外ではより簡便な専用器械が次々に開発、販売されています。今後、こうした海外の優れた器械が導入されれば、足の外科のMISが日本でも広まる一助になるのではないかと思います。
追記:師匠の一人のRedfern先生の器械(YouTube動画です)を見つけました。かなりよさそうですね。