前もお話したとおり、足の外科のMISに関する本は、まだまだ少ないのが現状です。
今日ご紹介するのは、こちらの本です。
編者はイギリスの著明な先生です。
しかし、2011年の発行であり、残念ながら、内容としてはかなり古くなってきている感がぬぐえません。
外反母趾の治療としては、第1世代MIS、つまり骨を切っても針金やスクリュー(一般には、よくネジとかボルトと言われているものです)といった内固定を使わずに、固い包帯などをギプスの代わりにする方法や、第2世代MIS、つまり固定として針金を1,2本使う方法などが紹介されています。
また、足の外科では足の形を整えるのに踵の骨を切ることもあり、今は以前紹介したバーで、MISの手技を使って1cmの切開で骨切りできるようになっているのですが、この本では4箇所を切開してギグリ・ソー(ワイヤーのようになっているノコギリ)を使う方法が紹介されています。
ただ、現在の足の外科のMISの開祖とも言える、アメリカ/メキシコのIsham先生と、スペインのPrado先生も寄稿されているので、原点となる手技を知るにはいいと思います。
Isham先生は、医師と足病医の両方の資格を持っておられ、1990年ころにさまざまなMISの手技を確立した方です。私も、スペインとアメリカの手術セミナーで教えていただきました。Prado先生は、Isham先生の技術をスペインに持ち帰って、ヨーロッパでのMIS発展の礎を築かれた方です。最初に参加したスペインの手術セミナーでいろいろ教えていただき、その後も国際学会でお会いするたびに声をかけてくださるので、私もこのときとばかりに、いろいろ質問させていただいています。
また、この本の中で、カナダの足病医のSheldon先生が、現在のMICAと類似した手術法について書かれています。私は、アメリカの手術セミナーに参加する前にすでにこの本を読んでいたので、会場でお会いしたときに挨拶させていただいたところ、とても喜んでおられました。Nadal先生は、その後、アメリカ日帰り足の外科手術学会(と訳したらいいのでしょうか?)の会長もされていました。
2013年にこの本の改定版が出たので、こちらも買いました。
ただ、変更点としては、値段は下がりましたが、ハードカバーではなくなり、中の紙質が悪くなったこと、レントゲン写真がやたらと大きくなって、最初の本の後半1/3が削除されたこと、くらいでした。
なので、残念ながら、足の外科MISのコレクター・アイテムとして以外には、あまり買う必要はないかと思います。
そのうちに、さらにマニアックな本も紹介する予定です(笑)。