海外のMIS手術セミナー その3 2012年 ブライトン

2012年9月にオランダで行われたヨーロッパ足の外科学会で、イギリスのRedfern先生が発表をされた、最小侵襲踵骨骨切り術 Minimally invasive calcaneal osteotomy(MICO法)に興味を持ち、発表の直後に手術見学をお願いしたのですが、わりと早く見学が実現しました。

その学会後、Redfern先生とメールでやりとりしたところ、同年12月5、6日に、ブライトン・サセックス大学で、その方法を含めたMISの手術セミナーが開催されるとのことだったので、さっそく参加しました。

そのセミナーでは、念願のRedfern先生によるMICO法だけでなく、当時、国際最小侵襲足の外科学会GRECMIP(現MIFAS)の会長もされていたVernois先生から、外反母趾のMICA法を直接指導していただくこともできました。

MICA法は、現在、私が外反母趾に対してメインで行っている術式で、海外でも第3世代MISの主流となりつつある術式です。

Vernois先生はフランス人ですが、イギリスの病院に勤務されています。私にとっては、とても聞きやすい英語で話してくれて、大変親切に教えてくれました。

その後も学会やセミナーで会うたびに質問をさせていただいており、Redfern先生、Vernois先生とも、私のMISの師と仰ぐ先生のうちのお二人です。

このセミナーでは、強剛母趾に対するMISのレクチャーもありました。この方法も、私がたびたび使っている手術法です。今後、「疾患別MIS」のところに、強剛母趾の手術についても、まとまり次第、掲載する予定です。

このセミナーも、私にとって、大変実りあるものでした。

このセミナーはその後もたびたび開催され、世界各国から受講者が集まるようです。Redfern先生のその後の講演を聴いたとき、その中で日本からの受講者は未だ1名となっていましたが、これは私の誇りです。

先生方ももちろんですが、共催のWGヘルスケアという器械の会社は、創設者のWellsとGoddardの名前が由来ですが、少人数ながらもMISの新しい器械の開発、販売に対して、創設者を始め、非常に熱意を感じました。営業のTomは、手術の説明についてはその辺のドクター顔負けで、また私にも大変親切にしてくれました。その後、この会社は大手のWright medicalに合併されました。のちに、Tomは日本にも来て、一緒に人形町ですき焼きを食べました。

なお、2014年に、「日本足の外科学会雑誌」に、「後脛骨筋腱機能不全に対して、経皮的踵骨骨切り内方移動術等を行った1例」、「整形・災害外科」という月間誌に、「強剛母趾に対する経皮的関節縁切除術に鏡視下処置を加えた1例」というタイトルで、それぞれ国内初の手術例の報告を掲載していただきました。手術法については、2019年発行の雑誌Monthly Book Orthopaedicsの「いま反復しておきたい足の外科基本手技」という号に、「足の外科の鋼線・スクリュー固定テクニック〜小侵襲手術における私の工夫〜」というタイトルで掲載されています。

さて、このセミナーの往復は韓国経由でしたが、ちょうど雪のシーズンで、帰りの便が雪で遅延してしまいました。まずイギリスのガトウィック空港で足止めとなりました。その間、航空会社のはからいで、もらったチケットで夕食をとり、用意された空港に隣接するホテルで数時間待機となりました。ようやく飛行機が飛び立ち、韓国の空港に到着しましたが、ここでも足止めとなりました。残念ながら、そこではその後のことについて何の案内もなく、私を含めて乗客はみなどうすればいいか途方に暮れてしまいました。窓口に多くの人が押しかけて、対応も一向に進みません。私も、普段の仕事になるべく支障を来さないよう、いつも海外セミナーや国際学会はギリギリの日程で行っているので、一刻も早く帰国しないといけません。しかたなく、日本向けの他の便が出るゲートに対応を聞きに行くなど、考えられるあらゆる手段で聞きまくりました。イギリスの空港よりもここでの待ち時間のほうが長かったのですが、待合所案内などもなく、空港のベンチで仮眠を取って、かなり待たされてから、何とか仕事に間に合うように帰国できました。日本の航空会社なら、もっとしっかりした対応をしてくれたのではないかと思いますが、ベルギーの学会やその後に利用したフランスの航空会社の遅延トラブルのときも似たりよったりだったので、海外の航空会社の対応はこんなものなのかも知れません。みなさんも注意してください。

追記:行きは電車でブライトンまで行きましたが、ホームが変わったのか発車時刻が変わったのか、予定の電車に乗りそこねてしまい、目的地までの電車に乗るのにも苦労したことを思い出しました。日本だと、行き先に応じたホームになると思うのですが、日本の常識は世界の非常識だったりしますね。

いつものように、私の師匠であるRedfern先生、Vernois先生が寄稿されているMISの本を挙げておきます。ご興味のある方は、ぜひ御覧ください。

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