MISとの出会い その2

2010年9月のヨーロッパ足の外科学会の会場の外では、MISの本が山積みで売っていました。大判のハードカバーで275ページ、オール・カラーでDVD付きです。スペイン人で、足の外科のMISでは世界的に有名なMariano de Prado先生と、有名な解剖学者の故・Pau Golano先生たちの共著です。もちろん買って帰りましたが、今でも日本では販売していないようです。

本の表紙で、母趾のところが一部傷になっていますが、これは2011年3月11日の東日本大震災で棚から落ちたときにできたものです。

帰国後、バルセロナ大学のAsuncion先生の勧めに従って、メールで同大学での手術セミナーにさっそく申し込みました。この本に、セミナーのチラシが入っていました!

事前に参加料の振り込みが必要でしたが、海外への送金は、当時は今よりもさらに規制があってうまくできず、その間に締め切りになってしまうのではないかと、ヤキモキしました。何度か交渉した結果、特例として、セミナー当日に現場で参加料を払うことで、なんとかOKをもらいました。

ヨーロッパの学会から4か月後の手術セミナーに向けて、この本を10回くらい通読しました。また、DVDの音声を録音して、聞きながら通勤しました。特にセミナー直前の年末年始は、家族が里帰りした後に一人で家に残り、朝から晩までこの本を6回音読することで表現を覚えました。また、本やDVDだけではわからないことをすべて書き出し、英語に直して質問表を作りました。日本では質問できる人が誰もいませんし、次はいつ質問できる機会があるかどうかわからなかったので、とにかく納得いくまで質問できるように準備しました。

こうして、2011年1月、バルセロナ大学でのMIS手術セミナーに単身乗り込んだのでした。

最近は、足の外科のMISについての他の本や論文も見かけるようになりましたが、未だにこの本より基礎から網羅的に書かれているものはなく、またGolano先生の解剖図がすばらしいです。今でも時々参考にさせていただいています。私の宝物の一つです。

タイトルとURLをコピーしました