2015年12月11〜13日、国際最小侵襲足の外科学会(現MIFAS、旧GRECMIP)が主催するMISセミナーが、初めてオーストラリアで開催されました。その際、インストラクターとしての参加要請をいただきました。
2015年12月9日の夜、仕事が終わった後、そのまま日本を発ちました。
12月10日に到着。日本は真冬で寒かったのに、オーストラリアはとても暑くて日差しもきつく、移動中に脱いだマフラーやコートが邪魔でした。
早く着いたので、ホテルのチェックインまでにかなり時間があり、荷物を預けてホテル近くの街中を歩き回ってみました。有名なオペラハウスや鉄橋の他、現代アート美術館や動物園、水族館、マダム・タッソーの蝋人形館にも寄ってみました(美術館以外は、チケットがまとめて1枚だったので)。
夕方、夕食のお誘いでホテルの電話が鳴ったようなのですが、シャワーを浴びていて気づきませんでした。一人で夕食を食べに外を歩いていると、ホテルの近くにさまざまな国のレストランが表にテーブルを出していました。オーストラリアというとバーベキューというイメージでしたが、新しい国なので、逆にいろいろな国の食文化が楽しめるということのようです。比較的テーブルが空いていた、ドイツ料理にしてみました。昔、大学の卒業旅行で友人とドイツ、オーストリア旅行をしたときに味わった、アイスバインとザワークラウトを頼んだのですが、ウエイトレスさんになかなかわかってもらえず、少しイメージとは違う料理が出てきましたが、美味しかったです。
翌日、手術セミナーの初日はMISの基本コースでしたが、日本からの参加者は、相変わらずゼロでした。
アジアからは、私以外にシンガポールからSean先生がインストラクターとして参加されていました。彼は、2018年にアメリカ足の外科学会の公式雑誌Foot and Ankle Internationalに、外反母趾に対するMICA法とscarf法を比較した論文を出したグループのお一人です。
講義と実技が交互に行われました。私自身も、多くの先生の講義も聴けて、いろいろと勉強になりました。もちろん、オーストラリアのLam先生も講義をされていました。
実技では、私は主にカナダ人と韓国人のLee先生を指導させていただきました。
技術的な話になりますが、実技の合間に、Vernois先生がお一人で模型を切っているのを見て、MICA法のときに生じた骨棘を、削るのではなく、切って髄腔に押し込むことを思いつきました。
その後、この方法を手術のときに使っていましたが、2019年のモロッコの学会でVernois先生が講演されたときに、やはり同じ方法でやったレントゲンが出てきました。こんなちょっとした、でも大発見があるから、手術セミナーや国際学会は勉強になります。
モロッコといえば、Karrakchou先生もモロッコからインストラクターとして来られていました。
セミナー終了後、夕食に繰り出したのですが、私はLam先生のベンツに乗せていただきました。
期間中、他に役員だけの食事会もありました。海に面したレストランからは、ライトアップされたオペラハウスが見えて、幻想的でした。Laffnetre先生、Vernois先生、学会秘書のCelineなど、フランス人が多かったですが、そもそも学会の旧名GRECMIPはフランス語の略称で、この学会がフランス由来ということもあると思います。
食事後は打って変わって、大音量で音楽が流れる街中のバーに行きました。そこでは、メルボルンから来られたBedi先生ともお話させていただきました。彼も、2017年のJournal of Foot & Ankle Surgeryという雑誌にMICA法の論文を出されている有名な先生の一人です。
最終日、シドニー空港から帰国したのですが、飛行機のエアコンが故障したとのことで、また遅延となりました・・・。直通便だったので、翌日の早朝には帰国でき、そのまま出勤しました(汗)。
さて、私は今までいろいろと学ばせていただいたこの学会に、少しでも貢献できたのでしょうか?
数カ月後、Lee先生から、「はじめてMICA法をやりました」、という嬉しいメールをいただきました。彼は、その後、Lam先生の病院で勉強されたそうです。そして、2017年のFoot and Ankle International誌に、Lam先生との論文を発表されていました。