2023年1月7日、アメリカ足の外科学会AOFASから、2022年2月のwinter meetingなどでの講演動画が配信された、との連絡が来ました。
このwinter meeting では、MISについて複数の先生がご講演されていました。さまざまな足の外科疾患に対するMISの手技と成績についてで、私が行っている方法と基本的には同じでした。
特に印象に残ったのは、Holly Johnson先生のMICA法についてのご講演です。最後の謝辞のスライドから、彼女のMICAの師匠が、私と同じVernois先生とRedfern先生であることがわかりました。また、ある程度この術式に習熟した外科医の課題として、第1TMT関節弛緩がある場合の対処法と、過矯正による内反母趾について挙げておられました。これは現在の私の課題と全く同じで、ある程度経験を積んだ後は、行き着く先は同じなのだと共感しました。
私と異なる点は、米国ではMIS専用の形状のスクリューを使っていることと、おそらくは症例数です。トップページのレントゲン写真の注釈にも書きましたが、日本では未だに専用スクリューは使えません。症例数についてですが、2022年の年末に勘定したところ、私のMICA法の手術は、通算でちょうど130足になりました。ですが、彼女は2022年2月のこの講演の中で、年90件以上手術したとのことでした。米国の医療は高度にセンター化されており、広範囲から専門病院に患者さんが集まるようになっているので、比べようがないのかもしれません。
この他のMISについては、経皮的scarf法の講演も、別に追加収録されていました。
以前、スペインでお会いし、講演も何度か聞いたことのある、Rabat先生のご講演です。背の高い、大変親切な先生です。骨幹部遠位での、いわゆるshort scarf法で、ミニ・オープンでやる方法は、バルセロナ大学病院で故Asuncion先生に初めて見せていただきました。Rabat先生のMIS scarf法の講演を初めて聞いたのは2015年のバルセロナで、その時はまだ小さな部屋でのランチョン・セッションでしたが、非常に驚いたことを覚えています。私は、この手術自体はしたことがありませんが、この方法を活用して、以前に第1中足骨を大きく短縮する必要があった症例で、小切開で骨を分割して除去したことがあります。
今後も、AOFASから情報発信してもらうことで、世界的にMISの知名度が上がっていくことを期待してやみません。
ご興味のある先生で、参考文献を探しておられる方に、MIS足の外科センターからのおすすめの書籍を掲載しておきます。